EORを使えない国はあるか?経済制裁・外貨送金規制とサービス対象外地域
企業が海外の優秀な人材を採用する際、現地に法人を設立する手間やコストを省き、迅速に雇用を可能にする仕組みがEOR(雇用代行)です。現在、主要なグローバルEORプロバイダーは世界160ヶ国以上に対応しており、一見すると「インターネットとパソコンさえあれば、地球上のどこにいても瞬時に人を雇える時代」が到来したかのように思えます。しかし、本当に世界中どこでも使えるのでしょうか。本記事で解説します。
160ヶ国以上――世界の主要経済圏をほぼ網羅
この160ヶ国以上という数字は、世界のほとんどの主要経済圏を網羅しています。EORを利用すれば、各国の複雑な労働法、社会保険の手続き、税制などを自社で調べる必要はなく、すべて代行業者に任せてコンプライアンスを守った雇用が可能です。この圧倒的な利便性により、企業の国境を越えた事業拡大はかつてないほど加速しています。
それでもEORが使えない国・地域がある
しかし、世界中どこでも万能に使えるわけではありません。状況によってEORが全く機能しない、あるいは法律上利用できない国や地域が明確に存在します。代表的な例が北朝鮮です。同国のように国際的な経済制裁を受けている国や、金融取引が厳しく制限されている国では、外貨送金や合法的な雇用契約の維持が不可能です。また、政情が極めて不安定な紛争地域や、外資の参入を厳格に統制している一部の独裁国家などでも、現地でのパートナー企業(EORの基盤となる法人)が存在できないため、サービスが提供されません。
EORが利用できない主なケース
- 国際的な経済制裁を受けている国(例:北朝鮮など)
- 外貨送金や金融取引が厳しく制限されている国
- 政情が極めて不安定な紛争地域
- 外資参入を厳格に統制し、現地パートナー法人が存在できない国
「使える」国でも油断は禁物――グレーゾーンに注意
明確に「使えない」国だけでなく、注意が必要な「グレーゾーン」も存在します。たとえば、特定の業種や役職への外国資本の関与が制限されている国、特定通貨での給与支払いに規制がある国、あるいは制裁対象が「国」ではなく「特定の個人・団体・取引」に限定されている国などです。また、同じ国でも時期によって制裁や規制が変わることがあります。表面的に「対応国リストに載っているか」だけで判断せず、自社の業種・職種・支払い通貨まで含めて確認することが重要です。
対象外だったときの代替策
進出先がEOR対象外でも、打つ手がないわけではありません。近隣の対応国に居住する人材を雇用する、対象国でのプロジェクトを業務委託や現地パートナー契約に切り替える、あるいは規制が緩和されるまで進出時期を調整するなど、リスクを避けた代替ルートを設計できます。重要なのは、見切り発車せず、事前に専門家と選択肢を比較することです。
よくある質問(FAQ)
Q. 進出したい国がEOR対象かどうか、どう確認すればいいですか?
プロバイダーに事前確認するのが確実です。経済制裁や外貨送金規制の有無、現地パートナーの有無によって対応可否が変わります。
Q. 対象外の国の人材は一切雇えないのですか?
その国の居住者をEORで雇うのは難しい場合がありますが、対象国に居住する人材であれば雇用できるケースもあります。個別に確認が必要です。
Q. 制裁は急に変わると聞きますが、契約中の従業員はどうなりますか?
制裁や規制の変更で送金や雇用維持が困難になる場合があります。信頼できるEORは状況を監視し、影響時の対応策(支払いルートの変更や契約見直し)を早期に提案します。
まとめ:「完全なる全世界対応」ではない
EORは世界の大半をカバーする強力なツールですが、「完全なる全世界対応」ではありません。進出を検討する国が経済制裁を受けていたり外貨送金ができなかったりして「サービス対象外」になっていないか、業種・職種・通貨まで含めて事前にプロバイダーへ厳密に確認することが不可欠です。地政学的なリスクや現地状況を正しく見極めることこそ、グローバル採用を成功させる大前提です。対応国の確認はINS Globalへお問い合わせください。
共有